泡カラーとプロフェッショナルのヘアカラーの違い

前回前々回で市販のヘアカラーと美容室向けのヘアカラーの違いを書いてきましたが、今回はその続きです。

市販のヘアカラーとプロフェッショナルのヘアカラーの違い
市販のヘアカラーとプロフェッショナルのヘアカラーの違い2

この連載(?)の意図は、市販と美容室でのヘアカラーを、市販・美容室向け両方を開発したことがある私の経験と少々の”勘”を基に、対等に比較していくことです。

あらかじめ断りますが、決して市販のヘアカラー剤をこき下ろしたりする目的ではありません。

「うちはこれだけいい」というポジティブな情報よりも、
「他はここが悪い」ネガティブな情報が伝搬しやすい世の中。
とくに市販の商品は攻撃の的にさらされやすいものです…。

ただただ不安を煽るのはプロフェッショナルではありません。

就職活動の面接に例えると、
「あの子のここが悪いから、あの子よりも私を採用してください」

「私のここが強みですので私を採用してください」
か、どっちでしょう?という話ですよね。

私の美容師さん向けにもパーソナルヘアカラー診断士®養成講座を行っていますし、美容学校にも通っているので、
最近はどちらかというと美容師よりの立場になりがちですが、
ここはできるだけ、中立的な視点で比較して、
その上で、美容室でヘアカラーをする「強み」を伝えていけるように、書いていきたいと思っています。

前置きが長くなりましたが、本題です。

プロフェッショナルヘアカラーは、クリーム状の1剤に液状(乳液状)の2剤、といった剤型がほとんどだと思いますが、
市販は、さまざまな剤型が出ています。

最近は、泡カラームースカラーホイップ状のカラーなどなど…。

美容室では、根元・中間・毛先と時間差で塗り分けたり、
ハイライトやローライトのデザインカラーでヘアカラーの選定を変えたり、といった具合に、
プロならではの塗り分けをするので、ある程度の粘度(粘り)が必要になってきます。

市販は、一般人が塗るわけですから、普通は塗り分けなんてしません。
根元から毛先まで一気にまんべんなく塗れるような、
粘度(粘り)の低いものや、剤型の工夫(泡状、ムース状、ホイップ状など)が求められます。

塗り分けるとしたら、白髪染めのリタッチくらいでしょう。
1剤も2剤もチューブに入ったクリーム状という白髪染めも多く発売されています。

チューブのイメージがわかるものを選びましたので、少しレトロ感のあるパッケージですが、
必ずしもレトロ感のあるものばかりではありませんので誤解なきよう(^^ゞ

蛇足ですが、「剤型」でいうと、市販の白髪染めは日本では一番歴史があり、
日本初のヘアカラーは100年以上前に発売されています。
さすがに当時の白髪染めは今はもう発売されていませんが、
1950年代に発売された「粉末状」の白髪染めや、
1970年代ごろに発売された「1剤も2剤も液状」の白髪染めなどはまだまだ健在です!

美容室に行くことが難しい70代や80代以上の方は、
新しいものよりも「ずっと使い続けているもの」を好まれる傾向があるので、
昔ながらの白髪染め」もまだまだドラッグストア等で見かけることも多いです。

残念ながら今は廃番となっていますが、ホーユーさんの「元禄」という商品は、大正・昭和・平成と三時代72年間のロングセラーだったようです。
ホーユーの歴史(Web資料館)

塗りやすさの話から歴史の話まで、市販の様々な「剤型」について書きましたが、
最近流行りの泡カラーの話題に戻します。

といいながら、私自身が「泡カラー」の開発には携わったことがありませんから、
あくまで個人的な意見であることをご承知おきください。

泡カラーは「染まりにくい」という意見をよく聞くことがあります。
特に白髪染めでよく聞かれる話です。

もし、同じ染料の濃度で、同じ条件(温度や放置時間など)だったら…を仮定すると、
液状カラーは髪の表面に液がはりつき、色素やアルカリ成分が浸透しやすいのですが
泡カラーは、泡の1つ1つに空気を含んでいますから、髪の表面から色素やアルカリ成分が浸透しにくいでしょう。

また、空気を含むために、同じ量使っても、液状よりも泡カラーの方が体積が膨らみますから、
逆に本来使うべき量よりも少なめに使ってしまいがちかもしれません。

泡カラーは「まんべんなく頭全体に塗布しやすい」というメリットがありながらも、
「浸透しにくい」「塗布量が少な目になってしまいがち」という「ハンディ」もあると言えると思います。

「染まりにくい」のは、こういった浸透や塗布量のハンディに、
放置時間、温度、塗り方、白髪の割合など条件も合わさって起きている現象かもしれませんね。

開発サイドでは、
放置している間に泡が徐々につぶれて液状に戻る(=浸透しやすくなる)ように工夫したり、
染料やアルカリ成分の濃度を調整して浸透のしにくさをカバーしたり、
他にもさまざまな手法があると思いますが、それ相応の工夫はなされていると思います。

どこまで工夫できたかが開発者の腕の見せ所でしょうね。
泡カラーやムース状のヘアカラーを、同じ条件で比較すると、
メーカーやブランドによって白髪のカバー力も違ってくるかもしれません。

それから、よく「泡カラーは危険だ」という話を小耳にはさむことがあります。

泡カラーを販売しているのは、ほとんど大手メーカーに限られると思いますが、
名の知れた大手メーカーにとって、万が一でも安全性問題が発覚したら、それこそ企業生命に関わる一大事です。
安全性に関わるチェックにもしっかりお金をかけてやれる環境も整えやすいんです。

薬事法で定められた範疇で作られていますから、
一般的なヘアカラー剤よりも安全性が劣るような商品を意図的に発売するということは考えにくいでしょう。

ただ、化粧品に合う成分と合わない成分、合う香りと合わない香りがあるというレベルで、
泡カラーはダメだったけど、液状のヘアカラーは大丈夫、という方は当然いらっしゃるかと思います。
(もちろん、その逆もあるかもしれません)

そもそもヘアカラーが100%安全か、というと、染料成分でアレルギーを引き起こす方もいたり、
アルカリ成分でかゆみを感じる方もいらっしゃいますので、
万人に対して安全で快適ですよ、とは言い切れないのですが…。