論文掲載のお知らせ

日本色彩学会誌2019年11月号に、当協会代表の中川が執筆した論文(研究資料)が掲載されました。
ヘアカラーリング剤の色彩調査に関する論文で、これまで当協会で取ってきた沢山のデータの一部です。

今回の調査では、代表的な10社の美容室用ファッションカラーブランドについて、黒髪やブリーチ毛に染色し測色を行いました。
詳細は論文をご覧頂けるとありがたいですが、要点のみ共有させていただきます。

  • アジア人の黒髪・ブリーチ毛の色の変化

量産されているアジア人由来の黒髪やブリーチ毛の色を調査したところ、明度(L*)が明るくなるほど色相(h)が赤から黄に変化すること、またL*とhとの関係は指数関数に近似できました。

黒髪・ブリーチ毛の色の変化

黒髪・ブリーチ毛の色の変化

また明度(L*)が明るくなるほど彩度(C*)が高くなること、L*が十分に高くなるとC*の上昇が緩やかになることが示唆されました。L*とC*との関係は一次関数で近似できました。

黒髪・ブリーチ毛の色の変化

黒髪・ブリーチ毛の色の変化

  • 暖色と寒色の明確な色の違いについて

恐らくこちらのページをご覧頂いていると思われるヘアカラーのアドバイスをする美容師さんやカラーアナリストさんにいちばんお伝えしたい内容です。
アジア人由来の黒髪やブリーチ毛に染色した毛束の色を調査したところ、暖色とされるヘアカラー(オレンジ・ピンク・バイオレットなど)のほとんどはブリーチ毛よりも赤み寄りに、寒色とされるヘアカラー(アッシュ・マットなど)のほとんどはブリーチ毛よりも黄み寄りに位置するという結果となりました。

ヘアカラーリング剤の色彩調査

ヘアカラーリング剤の色彩調査

特にアッシュがブリーチ毛よりも黄み寄りに位置するという点は注目すべき結果かと思います。パーソナルカラーではブルーベースの方にアッシュを、またサロンワークでは髪の黄みを消す目的でアッシュを使うという判断にはかなり慎重になるべきかと思います。

当初、多額の費用と時間をかけた調査は社内のみで共有するつもりでしたが、今後の美容業界の底上げ・発展のため、今回執筆して投稿しました。
他にも様々な調査をしていますが、どこかで役に立ちそうな結果が出たものは、今後も順次論文にまとめて行きたいと思います。