美容の感性学3 -顔型を意識した髪型のシルエットの設定-

 こんにちは.Myu-です.

 さて,前回の 美容の感性学2 では,図形表現化された顔型の中でも,日本人に多い顔型といわれている ”基本的な4つの顔型” の特徴と,自身の顔型の測定方法 についてご紹介致しました.

 美容の感性学3では,前回の内容を踏まえて,顔型を意識したヘアスタイルのシルエットの設定について,実践に役立つ方法の解説をしていきます.

力の方向 = ベクトル の効果

 第一回目の “美容の感性学1” の中で,形態学の視点からも黄金バランスに近い顔の形 =「卵型」が,人の輪郭の理想(形態美)とされ,人々が外見を評価する時の美の形の一つとなっているとご紹介しました.

 しかしながら現実には,全ての人が理想的な顔型を持っているわけではありませんし,整形手術でもしない限り,簡単に顔型を変えることは出来ません.

「なら,諦めるしかないのか...」.

 そんな風に思ってしまいますよね.
…いや,諦めることはありません!実は誰でも簡単に出来る方法があります.
その方法とは….

そう,“髪型”です!

 皆さんも,前髪の有無や顔周りの髪の毛の流れによって,顔の印象が違って見えた経験はありませんか.顔の印象は“顔型”だけでなく,“髪型” が影響していることが多くあります.では,髪型を変えることでどのような影響が起きるのでしょうか.

 そこでここからは,ヘアスタイルのシルエットの操作によって基本的な4つの顔型を卵型に近付く方法をお教えします.

 形態美に近付くための方法として,“ベクトル”の効果を利用する方法があります.学生時代に物理の教科書で学んだという人もいるかと思いますが,ベクトル(独)とは,大きさや方向および向きを有する量のことです.
錯視の一種でもある,引っ張る力の方向性(=ベクトル)で,面積が大きく見えたり狭く見えたりするという効果を,髪型のシルエット設定に利用することができます.(Fig.1)

 

Fig.1 ベクトルの方向による見え方

 

 その他にも,ベクトルによる効果は形態だけでなく,顔が表に出て,立体的に明るく,開放的に見えたり,その逆で,暗く消極的に見えたりするなど,その人の人物印象にも影響することもあります.

 

顔型を意識したシルエットの設定

 また,それぞれの顔型の特徴を把握し,髪の毛のボリュームを出す位置操作によって,卵型のシルエットを作り出すことも可能になります.

 丸顔であれば,縦のボリュームを出すためにトップに高さを出してサイドのボリュームを抑えます.面長顔であれば丸顔の逆で,トップのボリュームを抑えて,サイドに広がりを持たせます.三角顔の場合は,丸顔と同じくトップに高さを出し,尖り気味な顎をカバーするために,斜め下側にボリュームを持たせます.そしてベース顔の場合は,トップにボリュームを出し,サイドはハチの張りが目立たないように斜め上側にやや膨らませ,エラをカバーするようにボリュームを抑えます.(Fig.2)

 

Fig.2 顔型に合わせた髪型のシルエット設定

 

“美”は一定のものでなく移ろい易いもの

 これまでに,形態美としての一つの美の基準をお伝えしてきましたが,これらは感覚的なものであり,流行や嗜好に左右されやすく,絶対的な“美”を定義することは出来ません.
また,卵型にバランスを取ることが必ずしも良いことではなく,それぞれの顔型の持つ個性を生かすことも美の追求です.すなわち,美は,普遍的で多様性を持つ存在です.

 しかしながら,美を捉えるための一つの指標として,各回でご紹介をしてきた バランスのとり方や見え方による効果 を是非,参考にして下さいね!

 それでは,次回もお楽しみに!!

 

投稿者 :Myu-(ムユウ)
人間の美に関する形態美,感性的な美について実践と理論に基づいて研究中.
美容師,管理美容師,準学士(美容芸術),学士(芸術学),修士(芸術),博士(学術