ヘアカラーは何色が好まれるのか?欧米の研究から② 能力と髪色

女性の髪形と仕事

ヘアカラーは何色が好まれやすいのか?魅力を上げるヘアカラーは何色なのか?仕事ではどういった髪色が評価されやすいのか…?

日本人をはじめアジア人やアフリカ人の地毛はほとんどが黒髪やこげ茶ですが、ヨーロッパ人(白人・コーカソイド)は、ブロンド(金髪)、レッド(赤毛)、ブルーネット(栗毛)、ダークブラウンからブラック(黒髪)まで、地毛の色も多種多様。
そんな白人の多いヨーロッパやアメリカでは、何色の髪が好まれやすいのかという研究が行われています。

前回は、レストランやナイトクラブ、ヒッチハイク、募金活動など、ある場面を設定し、髪色の違うモデルを使って援助行動のありなしを調べたという実験をご紹介しました。ブロンドの髪の女性はレストランで男性客からより多くのチップをもらったり、ナイトクラブで男性からアプローチを受けやすかったりと、特に相手が男性の場合、援助行動を受けやすいということをご紹介しました。

今回はCEOの髪色や採用時の髪色について調べた調査や実験をご紹介します。

CEOに多い髪色は?

Takeda, Helms & Romanova(2006)はイギリスのFTSE(London Financial Times Stock Exchange)の500社のCEOの髪色を調べました。
その結果、500人のCEOのうちブロンドの髪の人は25名、レッド(赤毛)は20名、ブラウンとブラックは455名だったそうです。
ブロンドとレッドが少ないように思うかもしれませんが、人口比と比較しなくては多いのか少ないのかは分かりません。その人口比換算では、イギリス人500名のうちブロンドが100名、レッドが5名、ブラウンとブラックは395名なのだそうです。
要するに、CEOの髪色の比率は、ブロンドはイギリス人口比の4分の1、レッドは4倍、ブラウンとブラックは約1.15倍で、ブロンドは人口比を考えてもCEOは少なく、逆にレッドは人口比よりもはるかに多くのCEOがいるという結果になりました。
欧州には、ブロンドは好感が持てるが無能、レッドは有能だが好感が持てないいうステレオタイプが存在するのですが、企業のトップであるCEOにブロンドが少なくレッドが多いということでそのステレオタイプと合致した結果となりました。

採用時に評価が高い髪色は?

Kyle & Mahler(1996)は会計事務所のスタッフに応募した女性の評価に髪色の違いやメイクアップの有無で違いが見られるか実験を行いました。
履歴書に女性の写真をつけて能力を評価し初任給を決めてもらいました。
履歴書は全て同じもの、また女性の写真も全て同じ白人女性モデルのもので、メイクは有り無しの2通り、髪色はブロンド・レッド・ブルーネット(栗毛)の3通りで、掛け合わせで合計6通りの写真のいずれかが付いていました。
要するにメイクと髪色以外は全て条件が同じだったのです。
そしてその結果は・・・髪色ではブルーネットがいちばん有能であり給料も高く評価されました。ブロンドとレッドには差がありませんでした。
メイク有り無しではメイク無しの方が有能であると評価されたようです。

上のCEOの調査ではレッドが人口比よりもはるかに多くのCEOがいるという結果となりましたが、この実験ではブルーネットが最も評価されるという、異なる結果になりました。
職種によっても評価が異なるのかも知れません。Kyle & Mahlerも熱血漢、社交的というイメージの強い職場では、レッドでメイクありが好まれるのではないかとも述べています。

まとめ

髪色と能力に関わる研究は数少ないのですが、欧米ではブロンドは少なくとも大手企業のCEOには少なく、会計事務所の採用場面でも評価されにくいということが分かりました。
この理由として、上記2つの研究者は「ブロンドは好感が持てるが有能ではない」というステレオタイプに関係しているのではないかと述べています。

参考文献

  • Takeda, M. B., Helms, M. M., Romanova, N. (2006). Hair Color Stereotyping and CEO Selection in the United Kingdom. Journal of Human Behavior in the Social Environment, 13, 85-99.
  • Cox, C. L., & Glick, W. H. (1986). Resume evaluations and cosmetics use: When more is not better. Sex Roles, 14, 51–58.
  • Kyle, D. J. & Mahler, H. I. M. (1996). The Effects of Hair Color and Cosmetic Use on Perceptions of a Female’s Ability. Psychology of Women Quarterly, 20, 447-455.

文責

中川登紀子
※この内容は英語で発表された文献から得た情報を含んでいます。日本語と英語のニュアンスが異なる可能性もありますので、詳細は参考文献等をご確認下さい。