ヘアカラーは何色が好まれるのか?欧米の研究から① 援助行動と髪色

様々なヘアカラー・髪質

ヘアカラーは何色が好まれやすいのか?魅力を上げるヘアカラーは何色なのか?第三者から助けてもらいやすい髪色は何色なのか…?

日本人をはじめアジア人やアフリカ人の地毛はほとんどが黒髪やこげ茶ですが、ヨーロッパ人(白人・コーカソイド)は、ブロンド(金髪)、レッド(赤毛)、ブルーネット(栗毛)、ダークブラウンからブラック(黒髪)まで、地毛の色も多種多様。
そんな白人の多いヨーロッパやアメリカでは、何色の髪が好まれやすいのかという研究が行われています。

今回ご紹介するのは、レストランやナイトクラブ、ヒッチハイクなど、ある場面を設定し、髪色の違うモデルを使って反応を調べたという実験。

ナイトクラブで男性からのアプローチを受けやすい女性の髪色は?

イギリスで行われた実験です。Swami & Barrett(2011)はロンドンのナイトクラブのバーでブロンド、ブルーネット、レッドの髪の女性モデルが座っていた時、男性からアプローチを受けやすいのは何色かという実験を行いました。
女性のモデルは全て同一人物で、服装も決められており、髪を染めて実験に望みました。要するに髪色以外の条件は全て同じでした。
日本ではなかなか行うことができない実験かも知れないですね。
答えは・・・男性からアプローチを最も受けやすい色はブロンドだったそうです!ブロンドの次にアプローチを受けたのはブルーネットでした。

ところでSwami & Barrett(2011)はこの実験の後に、ブロンド、ブルーネット、レッドの女性がどんな印象なのか調査も行っています。
その結果は、なんとブルーネットが魅力的・知的・親しみやすい・有能という評価で、ブロンドは愛情を求めており、レッドは気まぐれ・・・という評価だったようです(英語のニュアンスが異なっていたらすみません!)。
ブロンドの女性がナイトクラブで声をかけられやすいという実験を矛盾していますが、Swami & Barrettはブロンドが援助行動を引き出しやすい髪色だからか、あるいは若々しく見える(生殖能力がある)からかではないかと分析するとともに、ナイトクラブのアルコールやステレオタイプによる影響や、女性モデルが髪色を変えたことによって無意識に微妙に行動を変えた可能性にも言及しています。

ヒッチハイクで停まってくれる車が多いのは何色の髪か?

こちらはフランスで行われた実験。
Guéguen(2009)は、女性にブロンド、ブラウン、ブラックのウィッグを被って道路でヒッチハイクをしてもらい、どの髪色の時に車がいちばん停まるかという実験を行いました。
これもなかなか日本では実現しなさそうな実験ですね。
こちらも髪色以外の条件は全て同じでした。つまり、同一人物をモデルに起用し、服装も決められていて、被るウィッグの色だけ変えて実験をしました。
結果は・・・女性ドライバーの時は、ブロンド・ブラウン・ブラックで停まる車の比率に差はありませんでしたが、男性ドライバーの時はやはり・・・ブロンドの女性がヒッチハイクをしている時に最もよく停まってくれたそうです。

レストランでチップが最ももらえるウェイトレスの髪色は?

こちらもヒッチハイクと同じGuéguen(2012)による実験です。
レストランで女性ウェイトレスにブロンド、レッド、ブラウン、ダークカラー(黒?ダークブラウン?)のウィッグを被ってもらい、それぞれの髪色の時でチップがどのくらいもらえるのかという実験をしました。
チップの習慣がある欧米圏ならではの実験ですね。
結果は・・・ヒッチハイクと同じで、男性客の時はブロンドのウェイトレスが最もチップをもらえたんだそうです。

募金活動が成功する髪色は?

こちらはアメリカでの実験。Price(2008)はDoor-to-doorの募金活動でどの髪色がより多くのお金を集められるかという実験を行いました。
結果はブルーネットよりもブロンドのほうが、より多くのお金を集められたそうです。ただし寄付する側の人種によって結果は異なったそう。

まとめ

今回は、ナイトクラブ、ヒッチハイク、レストラン、募金活動など、実際日常的に起こり得る(?)場面でどの髪色が援助行動を受けやすいか調べた欧米の実験をご紹介しました。
ご紹介した実験の結果をまとめると、ブロンドの髪の女性は、相手が男性であるとき、特に援助行動を受けやすいようですね。
ただ、援助行動と魅力がイコールかというと、Swami & Barrett(2011)の調査のように、実際はブルーネットの方が魅力的だったり知的だとと思われるといった研究もあります。
また、欧米圏と日本とでは好まれる髪色が違う可能性も!?
今後は、別の視点から行われた研究もご紹介したいと思います!

参考文献

  • Swami, V., & Barrett, S. (2011). British men’s hair color preferences: An assessment of courtship solicitation and stimulus ratings. Scandinavian Journal of Psychology, 52, 595-600.
  • Guéguen, N., & Lamy, L. (2009). Hitchhiking Women’s Hair Color. Perceptual and Motor Skills, 109, 941-948.
  • Guéguen, N. (2012). Hair color and wages: Waitresses with blond hair have more fun. The Journal of Socio-Economics, 41, 370-372.
  • Price, M. K. (2008). Fund-raising success and a solicitor’s beauty capital:Do blondes raise more funds? Economic Letters, 100, 351–354.

文責

中川登紀子
※この内容は英語で発表された文献から得た情報を含んでいます。日本語と英語のニュアンスが異なる可能性もありますので、詳細は参考文献等をご確認下さい。