総務省「賃金構造基本統計調査」(平成24年)によりますと、美容師の平均年齢は28.7歳、平均勤続年数は5.3年、平均年収は約260万円となっています。他の業種の労働者と比べて、極端に勤続年数が短く、若年齢層・低所得層に偏っています。経験が浅く若い美容師が、あらゆる世代・所得層の美容を担当しているというのが、美容業界全体を通してみた現状です。
美容所数は増える一方で、美容師国家試験合格者数は2005年をピークにほぼ毎年減少しています。技術者が慢性的に不足しているためか、月間労働時間数は前出の総務省「賃金構造基本統計調査」によると他の業種に比べ多く179時間となっています。低賃金・長時間労働のために、美容師を目指す者や長期間仕事を続ける美容師が少なく、さらに技術者が不足し人材が育ちにくく、長時間労働を強いられるという悪循環の構図が浮かび上がってきます。
消費行動はモノ消費からコト消費の時代へ変わりつつあると言われています。髪を切る・染めるだけでなく、美容室で体験できる価値を重視する消費者が今後も増えることでしょう。近年急成長している低価格サロンの出現により、髪を切る・染めるだけの美容室は低価格化が進み、高価格帯を維持できるサロンは、技術・経験・提案力のある美容室のみという時代になっていきます。美容室にとっては、経験の浅い美容師への教育や、仕事への充実感の向上に一層注力する必要があり、そのための経営努力も必要とされる時代となっていきます。
ヘアカラーマスター検定協会は、美容師教育や経営効率化のためのプログラムの提供を行うことで、消費者の美容室利用満足度向上や美容師の労働環境の改善に努めて参ります。
平成26年6月16日
合同会社ヘアカラーマスター検定協会
代表社員 中川登紀子