ヘアカラー剤のミックスで気を付けるべきポイント

前回の記事「ヘアカラーでゴールド+アッシュ=赤みになるわけ」の続きで、

今回は、ヘアカラー剤をミックスするときに気を付けるべきポイントについて書きます。

ただし、最初にお断りしておきますが、
メーカーでヘアカラー開発に携わっていた立場から言いますと、
基本的に異なる色のミックスはおすすめしません。

薬事法上のこともありますが、それだけではありません。

単色よりもミックスした方がきれいな色になるくらいだったら
そのミックスしてできるきれいな色を、
最初から製品として発売すればいいに決まっているからです。
単色で染めた状態で、最大限のパフォーマンスが出るようにするのが
開発する側の務めだからです。

といいながら、本題に戻します。

この記事を読まれている方は、
ヘアカラーが、「染料中間体」と「カップラー」が反応して
発色をしていることはすでにご存じかと思います。
(直接染料はそのまま発色しますが)

代表的な染料中間体とカップラーの色対応表がこちらです↓↓

これを眺めていると、いろいろと気づきませんか?

染料中間体を見てみましょう。

パラフェニレンジアミンと(硫酸)トルエン2,5-ジアミンは近い発色になっています。

ところがパラアミノフェノールはほかの2つの染料中間体とはかなり発色の様子が違います。

ですから、
パラアミノフェノール以外の染料中間体と、
パラアミノフェノールが混ざり合うミックスをする場合、
予想外の発色をする場合があるので要注意です。

さらにカップラーを見てみましょう。

レゾルシンと2,6-ジアミノピリジンは、どの染料中間体と組み合わせても、大きく色が変わるということはありません。

もし、レゾルシンと2,6-ジアミノピリジン以外のカップラーが含まれていない
ヘアカラー剤同士のミックスでしたら、
予想外の色が発色するリスクは少なさそうです。

パラアミノオルトクレゾールと5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノールは、
パラアミノフェノールと組み合わせた時とそれ以外とでやや色みが変わります。

現実的な仕上がりの色としては、オレンジっぽく彩度が出やすい発色になるか、
ピンクやバイオレットっぽく深みの出やすい発色になるか…という違いだと思います。

また次回の連載以降で詳しく書きますが、
この2つの染料もさほど神経質になるほどではありません。

いちばん気を付けなければいけないカップラーが、
メタアミノフェノール、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α‐ナフトール。

比較的寒色系でよく用いられる色ですが、パラアミノフェノールと反応すると一転、暖色系に発色します。

要するに、
カップラーにメタアミノフェノール、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α‐ナフトールのいずれかが含まれるミックスで、
かつ、
染料中間体がパラアミノフェノールとそれ以外が混ざり合うミックス…

これが「できるだけ避けたい」「要注意」のミックスということになります。

では、具体的な色として、何色と何色が「避けたい」のかは、次回以降に書きたいと思います。

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