2018年6月12日,美容サロン向けブランド『デミコスメティックス』を展開する日華化学株式会社(福井県)は,頭皮への刺激や髪へのダメージが少なく,アレルギーリスクを低減しながらも美しい発色を可能とする,世界初の染料『グロス染料』を開発.同年1月に特許出願をしたことを発表した.
現在,ヘアカラーの染料には,アルカリカラーの『酸化染料』,ヘアマニキュアの『酸性染料』,カラートリートメントの『塩基性染料』,ヘナ等の『植物染料』の4種類がある.
これら4種類の染料の分子の大きさを比較してみると,分子が最も小さい染料は,永久染毛剤に含まれる『酸化染料』である.『酸化染料』は,アルカリ剤の作用により毛髪内部まで浸透し,過酸化水素によって酸化結合が起こり発色する.しかしながら,アルカリ剤や過酸化水素は,酸化による髪の毛のダメージや頭皮刺激,人によっては湿疹や皮膚炎などのアレルギー反応を起こす要因となることもある.
一方,半永久染毛剤の『酸性染料』,『塩基性染料』や,『植物染料』は分子が大きく,毛髪の表面で染着する.毛髪内部まで浸透をしないため,髪や頭皮への刺激は少ないが,染毛力は弱い.
※他にも,2001年の規制緩和で使用できるようになった,酸性染料や塩基性染料よりも小さく,酸化染料よりも大きな分子を持つ,『HC染料』という新規染料もあるが,それほど染着力が無く,補助的に使用されることが多いため,ここでは割愛する.
今回,日華化学が発表した『グロス染料』は,酸化染料よりも分子が大きい二量体の染料で,頭皮に入りにくく,アレルギーリスクを低減することが可能で,アルカリ剤,過酸化水素フリー,ダメージレス,低臭,低刺激のカラーリングを実現.また,グロス染料は既に発色している染料のため,過酸化水素フリーで酸化によるダメージレスで染色が出来るのも特徴である.そして,毛髪のキューティクル層付近に多く染着することにより,光の反射が揃い,美しいつやが出るなど,今後,注目の新規染料である.
参考リンク先:日華化学株式会社
投稿者 :Myu-(ムユウ)
人間の美に関する形態美,感性的な美について実践と理論に基づいて研究中.
美容師,管理美容師,準学士(美容芸術),学士(芸術学),修士(芸術),博士(学術)