前回、ヘアカラーの研究開発の現場では、「L*a*b*表色系」と「マンセル表色系」が良く用いられる、と書きました。
今日はそのうち、「L*a*b*表色系」について書きたいと思います(*^_^*)
「L*a*b*表色系」では、色を「L*=20, a*=6, b*=8」のように表します。
ちなみにこれは、日本ヘアカラー協会のレベルスケールでおおよそ9レベル相当の色になります。
(ただしレベルスケールはナイロン毛ですが、人毛と少し値の出方が違い場合もありますし、測定する機械の条件によっても若干差が出ます)
L*=20のL*は明度を表します。
L*=0が理想的な黒で、L*=100が理想的な白となります。
どうして「L*=0が『理想的な』黒」かというと、実際に人毛の黒髪の色を測色すると、L*=15~18くらいになり、0になることはないからです。
a*は赤みと緑みを表します。
a*が+(プラス)に大きくなるほど赤みが強くなり、-(マイナス)に大きくなるほど緑みが強くなります。
ヘアカラーの場合、どんなに赤みの少ない茶色にしても、茶色である限りa*がマイナス(緑み)になることはほとんどありません。
b*は黄みと青みを表します。
b*が+(プラス)に大きくなるほど黄みが強くなり、-(マイナス)に大きくなるほど青みが強くなります。
ヘアカラーの場合、1レベルや2レベルくらいのブルーブラックのような「青みを強く感じる黒」や、ハイトーンの髪に高彩度の青を入れる場合などでない限り、b*がマイナス(青み)になることはありません。
ですから、「L*=20, a*=6, b*=8」は、明るさが20、赤みが6、黄みが8という意味です。
最初に「日本ヘアカラー協会のレベルスケールでおおよそ9レベル相当の色」と書いたので、少しはイメージできるかもしれませんが、数字だけ見てもどんな色なのかさっぱりわかりませんよね?
前回の投稿で、「L*a*b*表色系」は「北緯○○度、東経○○度」のような表現に近い、と書きました。
たとえば、日本ヘアカラー協会のレベルスケールの12レベルが「L*=26, a*=9, b*=17」だったとします。
9レベル…「L*=20, a*=6, b*=8」
12レベル…「L*=26, a*=9, b*=17」
ですから、その差は…L*が6、a*が3、b*が9。
「明るさが6、赤みが3、黄みが9の差」となります。
「L*a*b*表色系」は、その色がどんな色なのかを感覚的にとらえるよりも、
2つの色が『どの方向にどのくらい差があるのか』
を見る時に、とても役立つ表色系なのです。